エコ散歩
秋の自然教育園の森を散策。子孫を残す植物たちの戦略に感心。
2023-12-02
12月2日(土)、穏やかな日和の下、目黒駅から程近い自然教育園で「秋のエコ散歩」を共催しました。秋の森に入ると、緑一色だった木々の葉も常緑樹と落葉広葉樹の違いを見せ、木々の一部は紅や黄に色づき始めました。冬に入る12月ですので教育園内一面の落葉樹が紅や黄色に染まり参加者の目を楽しませてくれるかと思いましたが、まだまだ緑の葉が多く、観測史上最も暑い年になった今年の温暖化の影響を感じました。
森びと植生アドバイザーの中村幸人東京農業大学名誉教授の案内で森を観察。実や種をつけた植物が多く見られ、風を利用してタネを飛ばすタイアザミや、動物や人の被服に付着するヌスビトハギやキンミズヒキ。実が青いうちは毒を持ち、赤く色づき食べごろを鳥に教えるサネカズラなど、動けない植物が子孫を残すための戦略を教えていただきました。
また、緑色に見える葉は光合成をしているときのクロロフィルの色で、光の反射で人間の目には緑に見えますが、寒くなり光合成をしなくなると、暖色系の元の色が表れるそうです。
森から供給される水をためた池ではカモが羽を休めていました。鳥のさえずりが林内に響き、冬に備え木の実をついばむ鳥の様子も見ることができました。
森は「価値の無い物」として都市周辺の開発が行われていることに対し、中村先生より「森は生物の生命を維持し、二酸化炭素を吸収して酸素を供給する。水源涵養機能や生物多様性の保全など様々な役割を果たしている。この地球で最も必要とされているのは森ではないか。今ある森を残し、再生しなければならない。」と話され、他のものと比較出来ない「森の価値」、人間を含む多くの生き物が森に生かされていることを感じることができた散歩となりました。