一般財団法人 日本鉄道福祉事業協会のホームページへようこそ!!

 

労働組合関係資料

 

資料の構成

資料の構成
 
 労働組合関係資料は、労働資料館所蔵資料の中で最も分量が多く、書籍や雑誌も含めて多様ですが、その核をなすのが国鉄動力車労働組合(動労)の資料群です。動労の前身である機関車労働組合の結成大会(1951年)から動労の解散大会(1987年)までのすべての全国大会、中央委員会の資料や議事録が(一部欠落はありますが)保管されています。
 機関車労働組合の組合員は、もともとは国鉄労働組合(国労)内の職能的な集まりで、本部への要求を積み重ねる中で機関車連盟、機関車協議会へとまとまり、国労からの脱退・新組合結成へと踏み切ることになりますが、そのような結成以前の経緯を知る資料も残っています。
 その後、国鉄当局との交渉権を獲得し、総評加盟、反合理化闘争を重ねる中で、1960年代、70年代の日本労働運動に存在感を示すまで成長していく経緯も、残された資料群から読み解くことが可能です。
 以下は、機関車労働組合の結成に関わった兼高隆氏の陳述であり、そこから当時の息吹を感じることができます。
 
 
機労結成へ邁進させたものはなにか 兼高隆
 機労結成の理由として結成準備会は「結成理由書」をもってその主旨を明らかにしている。
 だとすると、結成準備会はまず組合結成に向ってひたむきな努力をつづけるべきところを、なぜ曲折をつづけてきたか、その理由は組合結成以前の最大の眼目に、交渉単位獲得があったからである。
 昭和二十六年の新年を迎え地方の動きは、新潟管内白山機関区の国労脱退を皮切りに、仙台管内全機関区の集団脱退を初め、国労脱退の動きが全国各地で五月雨のごとくつづいた。そこで機労結成準備会本部は、さきに述べたごとく全国の行動を統一するため国労脱退、結成準備会加入の指令を発出した。この場合かわっている点は、幹部は国労に発言権を保有するため当分の間引続き国労組織に止まれと指示したことである。
 機関車関係従業員の三分の二を超える組合員がこの運動に参加をした。その理由は共通であっても、共通目的を達成する手段方法に、硬、軟の差があり、その方法の違いによって目標が変ってくるものである。
 まず最低のものから述べて行くと、
①  国労内部にあって交渉委員を獲得し、その交渉委員を通じて問題を処理する、という少数意見。
②  交渉委員だけでは単に説明員程度の権限に過ぎないことになる。交渉の方法と妥結に自主性をもち、独自問題に自主権をもつ特殊交渉単位とすべきである、という少数意見。
③  特殊交渉単位では、全体単位と特殊単位で扱う問題の判定に問題が生じるから、これが明確化と自主権確保ということはとりもなおさず組織行動の一体化が必要であり、そのために単一組織の職能大支部制をとること、これによって組合を結成しなくても目的が達成出来るとする意見。
④  前項③の組織改編は理論上考えられるとしても、国労という組織の内部事情から実現不可能の議論に過ぎない。やるからには実現可能なもので組織的にも自主性を獲得すべきである。そのためには機労を結成し、その上に交渉単位の運営がなされなければならない。という強硬意見……に分れていた。
 準備会としては右四つの意見の内、第③の意見、すなわち「交渉権と、職能支部制」が実現出来るならば機労結成を思い止まってもよいという時機があった。
 それは、
1、東京駅地下食堂における会談の一致点は、職能支部制であったが国労内部から疑義が出てきた。
2、大阪四地本委員長のあっせんもこれに等しいものであったが、国労内部の容れるところとはならなかった。
3、参議員五氏のあっせんも、自主性を認め、交渉単位を認める点で内容は前項と同様の意味をもつものであった。
 それでは五参議員のあっせんがなぜ約束通り実現しなかったのか。まず国労の意見は譲り得る限度を②の意見程度と考え、組織的な活動はこれを封殺する考えであったことは、三月二十九日、あっせん案に基づく組織小委員会の一方的打切りを見ても明らかである。
 すなわち、国労の昭和二十六年度交渉単位にたいし、機労結成準備会が異議申請をした、労働省がこれに基づく判断を求められたギリギリの時間に、五参議があっせんに入り、このあっせんを受けて異議申請を取下げた。これによって国労単位は一年間法律的に確定をしたことになる。同時に第④案によって開催の運びであった熱海の機労結成大会を、結成しないであっせん案受諾大会に終らせるや、その翌日五参議の「あっせん打切状」が準備会に届いたことをもっても明らかである。
 国鉄労組はこれと同時に準備会圧殺の強行方針に転じ、一方新らしく機関車協議会の結成に乗り出し、四月十四日成田市において、通称「新機車協」を結成し、席上国労本部の星加氏は挨拶の中で、……機労結成準備会は……朝日の前の雪だるま……と剽した。
 この時機は、当局との交渉単位交渉も駄目、労働省にたいしても申請を取り下げて駄目、国労との話しも縁切りを通告されて駄目、結成準備会の姿は師走の寒空に丸裸かで立っている感じであり、第三者の目から見れば将に朝日の前の雪ダルマのごとく消える運命と映じたことであろう。
 準備会を圧殺しようとする動きは前面のみではない。国鉄当局は機関車会館の建設用地の借地を承認し建設が終っているのに、これが正式承認を渋り、電話使用も許可せず、組合専従者要求にも耳をかさないといった方法をとり、一方GHQ労働部は同年六月国労新潟大会に寄せたメッセージに単的に表はれたごとく、準備会封殺の態度をとっていた事は明らかである。
 機労結成準備会が四面楚歌の中に残された手段はただ一つ、熱海大会の決定は、あっせん案はのむ、ただし相手側が条件の一つでも違反をしたら結成大会を開く、ということにあった。
 まず組合を結成することである……そして交渉単位を法廷でたたかいとろう……すべての約束は反古にされ、孤立無援、外部からの圧力が加はれば加わるほど、内部にあった百論は一つに結束した。これこそ長年しいたげられてきた機関車人の肉体の中を流れる血の伝統であり、この伝統は、強大な責任を背負い、困難と油煙の中に培かわれ、事あらば一度に爆発をした過去の歴史と共通するものであった。
 “その名は古くは炎人と呼び、近くは機関車人と呼ぶ。彼らは長大にして高速な列車運転を生業とするため、責任感に富み、非常な忍耐力をもつ反面、事あれば瞬間的に物を判断し直情径行に走り、政治的かけ引きに欠けるものなり” 誰かこのことを馬鹿と呼ぶかも知れない。しかし沈着の反面、果断速決こそ世の人間が彼らに求めた職業的適格性であり、果断速決の結果がいかようであろうとその事は運命である。後悔と批判がいかように起ろうともすでに起きた結果は絶対に消すことの出来ない運転人の宿命に生きた彼らである。
 機労結成準備会が労働大臣にたいし、交渉単位設定を要求した申請書の中に、関係職員の意向として「国鉄に機関車が存在するかぎり、機関車を愛する機関車人が存在するかぎりこの運動が永久につづくであろう」ことを喝破しているごとく、全国各地の動きは機労結成に向って怒濤のごとく押し寄せ、中には本部の結成を待ち切れず大阪においては単独で機労を結成するという状態も表はれ、ついに五月二十二日、三日の両日京都において結成大会を開くことを決定し、全国に指令をした。
 一方結成大会までの過程の中にも一部の波瀾があった、熊本管内は一番最初に準備会に賛同したところであるが政治問題がからんで全員圏外に去り、交渉単位がとれない理由で福知山、天王寺の一部に脱落が見られた。しかしこの運動は職場で中高年齢層の共感も得、幹部の中心は三十歳前後の年齢層が占め、活動の中心は青年の活力によって進められたところに特色があり、日本で戦後初めてオルグで創る組合であり、オルグが健在な限り組織を拡大強化し得る自信をもって結成に乗出し、一方では交渉権のない組合として対当局の門は固く閉されていたが、関係組合員の労働条件を守るための交渉は、中央、地方を通じ、連日しつようにくりかえされていた。このことは表面的にはなんらの結実は見られない性質のものであるが、組合員の気持を繋ぎ止める効果のあっ.たことを見落してはならない。
 結成大会に向って全国から参集する代議員は、結成資金として組合員一人百円を携行し、今後起きるであろう困難に一部の不安を抱きながらも達感し「機関車人自からの手で自からの解放をかちとろう」という合言葉のみであった。準備会本部にすら組合の職業的指導者と目される人物もいない、すべてが職場の機関士であり、検査掛であり技工である。したがってその中には悲壮感もなければ英雄意識の介在する余地もない。大衆が正しいと皮膚に感じ、かくすることが当然として行動する限り、「組織論に定説がなく」、「事実が法律を創る」ことは古今東西の歴史によっても明らかであるごとく、一辺の偏見もなく、ひがみもなく、単々とした気持を抱き、若葉香る日本の古都京都に旅装を解いたのである。
 欧・米の各国に機関車乗務員のあるいは機関車関係労働組合の誕生に遅れること二分の一世紀、やはり興り得る必然性を有するものはいつの日か興るであろう。これが歴史の必然性であるかも知れない。機関車労組はいかなる組合をつくり、いかなる行動をとろうとするのか、それは明日から始まる新しい歴史が示してくれることになる。
一般財団法人
日本鉄道福祉事業協会
〒141-0031
東京都品川区西五反田3-2-13
TEL.03-3491-7190
FAX.03-3491-7194
────────────

────────────
058348
<<一般財団法人 日本鉄道福祉事業協会>> 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-2-13 TEL:03-3491-7190 FAX:03-3491-7194