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エコ散歩

エコ散歩

100年前、人の手で植えられた明治神宮の森を散歩しました。

2024-05-25
 5月25日(土)、100年前に人の手によってつくられた明治神宮の森を散歩しました。JR原宿駅西口を出ると大きな鳥居がそびえたち常緑の森が広がっています。気温は30度を超え、初夏を思わせる汗ばむ陽気の下、森びと植生アドバイザーの中村幸人東京農業大学名誉教授の案内で南参道入口から観察をスタートしました。
 100年前に全くの野原だったこの地に日本国中から在来の植物・樹木を持ち寄り植えられました。植物生態学者の本田静六先生が先頭に立ち、100年後本来の自然の森・神々が宿った常緑樹の森を目指し365種類、12万本が植樹されました。
 針葉樹から広葉樹に入れかわることを予測して植えられた木々は、100年たった現在が入れかわる時期となり、植えられた当時を思い返しながら遷移する様子を見て回りました。
 木々に覆われた参道内はヒンヤリとし19℃。自然のクーラーです。
 川の流れる石橋の所で林内の様子を観察すると、常緑広葉樹のウバメガシが大きくそびえ立ち、中村先生から「海岸の風の強いところにある木。本来ここには無い木で、一代で終わり。100年で交代する。」参道の反対側には大きな落葉広葉樹のケヤキがあり、水辺を好むことから、「自分の都合のいい所に植えられたから生長する。更新し世代交代する。植物は動けないから競争し、我慢するしかない。」と、その土地の条件に適応する木は世代更新しますが、適応できない木は次世代に更新できないことが示されました。
 林縁(マント群落)には鳥散布によってアオキやサカキ、ヤマグワ、ネズミモチが生えています。植えた木の他に鳥散布で増えていますがまだ充分ではないようです。本物の森は形だけでなく、本来そこに生きる動物、植物が戻った姿で、生物の共同体です。周りに原生林の無い東京では、あと300年はかかるのではないかということです。
 参道両側には明治神宮や外苑の優生種であるスダジイが大きく樹幹を広げています。また倒木によって森が壊れた(明るくなる)場所には、70年~80年土の中で眠っていたアカメガシワが芽を出していました。林冠が空いた場所では世代交代が始まり、クスノキやスダジイが競争を始めている様子をみることが出来ました。
 100年後に自然の森へと遷移することを構想した先人たちの努力は、「沸騰化」する東京の中で人々に癒しを与え、いのちを守る森へと生長していました。
 
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