森の観察・調査・研究
初夏の森、豊かになる足尾の生態系と森の掟を学びました。
2026-06-23
6月23日(火)、足尾「松木郷」の9時の気温は16℃。雲が低く垂れこめ(写真①)、終日曇りの天気でした。
森びと広場から「観察の森」を眺めると、植樹地の土壌条件によって木々の生長の差が良く分かります。栄養の少ない砂地でも空気中から栄養(窒素)を吸収できるヤマハンノキやヤシャブシ、シラカバが密集して5m~7mと大きく生長しています。黒土をいれて土壌改良した土地のサクラやモミジ、ヤマボウシは1m~1.5m程の樹高に生長していますが3年半で大きな差(写真②)が出ています。少ない栄養の土地で幹を伸ばすために、しっかりと根を張っているのだと思います。
道を挟んだ赤土地では栗の木が花を咲かせています(写真③)。夏には毬(イガ)を付け、秋には大きな実となり動物たちにとっての「森の恵み」になることを期待します。
今日は森びとスタッフの皆さんと、植樹活動を応援してくださる市民から提供していただいたツツジ(写真④)の植樹を行いました。コナラやミズナラ、クヌギが多く花を咲かせる木々の少ない「民集の杜・西」に植えます。
現在も土壌が薄く、スコップを入れると石や岩に当たり手がいたくなります(写真⑤)。
普段の生活では使わないツルハシなども使いながら、固まった表土を柔らかくして穴を掘り、来春サクラの下で色とりどりのツツジの花が見られることを期待しながら黒土を入れてツツジを植えました。(写真⑥)
この「民集の杜・西」で「森の恵み」に誘われた動物と出会いました。午後の作業に向かう途中、道路から杜を眺めていると桜の木の上に座っている黒い生き物と目が合いました(写真⑦)。相手もキョトンとした様子で、距離はありましたが目を離してはいけないという教えに基づき、しばらく金網を挟んでにらめっこしました。
後ろから来た森びとスタッフの声を聞き、急いで木を降りて杜の中に逃げていきました。体長70㎝程の子熊でした。小さなサクランボ(写真⑧)が目当てだったようです。
エサとなる森の木の実が不作で街に出没し人に危害を加えるニュースが多くなりました。
「松木郷」の木々も生長し、動物たちの生活圏に入って森作業を行っているスタッフの皆さんは笛とクマスプレーを所持し、集団で行動。森に入るときは入口に吊るしてある「一斗缶」を何度も叩いて存在を知らせています。動物のフンや大きな石が転がされていないか(写真⑨)、木の幹に爪痕はないかなど、動物の生態を掴み情報共有しながら森の手入れを行っています。
鳥や動物たちは木の実を食べたお礼に、杜の中にフンをして種を撒き、杜の仲間を増やしてくれます。私たち人間も生物社会の一員であり、水や酸素、食料など命の源を提供してくれる森に生かされていることに気づかされる観察・森作業となりました。



