森の観察・調査・研究
荒廃地に根を張り、豪雨に耐える「観察の森」
2024-09-10
気象庁によると今夏(6月~8月)の全国平均気温が平年より1.76度高く、最高気温が35度以上の猛暑日の地点数はこの3か月で述べ8821地点となり、過去最多となりました。その原因は温暖化によって日本近海の海面水温が記録的に高くなったことが考えられると分析しています。
海面水温の上昇の影響は7月末東北を襲った大雨や8月末九州地方に停滞した台風10号にも表れ、遠く離れた関東・東北にも1時間に100mmを超える豪雨をもたらしました。東京都新宿区では100㎏もあるマンホールを空中に飛ばし水柱があがりました。河川の増水による堤防の決壊、土砂崩壊によって、家屋が浸水・倒壊し、人命が失われる被害をもたらしました。地球温暖化の原因である温室効果ガス(二酸化炭素)の排出を減らすために、「大量生産・大量消費・大量廃棄」の経済社会に流された暮らしを見直し、吸収源である森を育てなければならないと強く感じています。
「観察の森」のある足尾の松木川源流にも大雨が降り、土砂流出を抑えている砂防堰堤から大量の土砂が流れ出し、激流が道路に沿って「観察の森」にも流れ込みました。
赤土エリアの入り口には30㎝ほどの土砂が堆積していましたが、「観察の森」の土壌は木々と草の根によって守られていました。
かつて、煙害によって木々が枯れ、保水力を失った渡良瀬川源流の荒廃地に大雨が降ると下流域に洪水被害をもたらしました。まだまだ荒廃地の広がる松木川源流にある「観察の森」の重要性を再認識する観察となりました。水源涵養・土砂流出防備林としての機能と温室効果ガスを吸収する森に育つよう、育樹活動も継続していきます。